金澤邸は結界で囲まれてる。
それは私がビビリだからというのがひとつ。
アトリエをぐるりと囲む20個の窓のフランス落とし(窓の金具)に
この仕事、このアトリエを作るのに関わった人の名前とその人への銘が刻まれてる。
正面には家具屋と大工さん。
東側には基礎工事をしてくれた友人のお父さん。
鬼門には師匠と父と叔父。
私の背中には友人と元彼。笑。
全員に守ってもらう魂胆と
ありがとうの気持ちで作った。
施工当時、私のこの刻印を打った金具の作業が中々進まなくて家具屋に怒られた。
「えー。今、chielさんの金具待ちで施工ストップです。」
と方々の業者さんに連絡が行った。
「またか。」と呆れられた。懐かしい思い出です。
やられたことは忘れません。根には持ちませんが、忘れません。
そんでもって、やってくれたことは絶対忘れないようにしてます。
蛇より性質悪いです。龍ですから。笑。長いもんの親方の干支だもーん。
アトリエに護符貼りまくって結界作ってるのに工場にないのはおかしい。
うん、護符作ろ。
というわけで作った。私物だからちょっと荒くたいが、ま、いいや。
新しい鋳造機が激しすぎる赤色で…
塗ってやろうと思ったけど…機械が変になったら嫌だし
所詮、ホームセンターの塗装なんてすぐに剥がれるし…
この赤を生かすならいっそアメリカンな工場にしようかと考えた。
機械のサイドカバーにこんな塗装とか。
…無理。ボツ。
結果こんな感じに落ち着いた。
ラテン語刻印
『 感謝と敬意を込めて… 』
城東組と鋳造機を手配してくれた鈴木さんの名前。
2年前、鋳造炉も鈴木さんが段取りしてくれた。
どーにかこーにかして私でも買えるように色々してくれた。
その時も300キロある鋳造炉を城東組の皆さんが人力で運んでくれた。
先日の最強メンバーで、笑。
工場はこの人達で支えられてる。
依頼主と業者の関係ですが。
私の中ではそれでは収まりがつかない。
この人に会えなかっら新しい炉なんて探せなかった。
この人たちに会えなかったらこんな山奥に機械を運んでもらえなかった。
お金の問題ではない(いや、お金の問題なんだけど)
誰一人欠けても、自分の仕事が出来ないのだと痛感する。
だから、ありがとね、納品してからも守ってね、頼むで、ほんま。
みたいな気持ちで刻印を作ります。
工業系アメリカン、難しい。 この赤をどう落ち着かすか考え中。
今ね、工場をご来店頂いたお客様にも見てもらえるようにペンキ塗ったり
色々してます。
ものづくりの現場を知って欲しい気持ちと、
いろんな業者さんや仲間に支えられて
「工場」というものがあるのだ、と
小さな1センチにも満たないパーツを作るのに
どれほどの人が手伝ってくれているのかというのを
「工場を見せる」ことでお伝え出来たらと思ってます。
「ものづくり」って何か作ってる人がクローズアップされやすいのですが
違うのよ、
材料を作ってくれる人がいて
それを手配してくれる人がいて
運んでくれる人がいいて
皆さんに見せれるようにするまでに
うんとうんと色んな人の手が入ります。
誰一人欠けてもいけないの。
昨今、雑誌なんかで「ものつくりの現場や人」を取り上げてくれることは多くなった。ありがたいこと。
でも、見えない屋台骨さん達は陽の目を見ることはあまりないです。
作家やデザイナー、店、ブランドだけがクローズアップされるのは違う。
私は「chiel」を作ってくれてる人たちを少しでも紹介したいと思う。
一番、買ってくれる皆さんに近い立場であるから。
見えない人達の宣伝部長でいるつもりだ。
なんの役にもたたんが、喋るだけ喋る。見せるだけ見せる。
飾ること、見せること、伝えることが私の職ですから。
ってことで9月いっぱいは工場の改造に集中します。
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